自尊心と自尊感

牧師コラム

姜 讃馨師

担任牧師

自尊心と自尊感

自尊心は「自分は偉い」と思いながら自分を守る心、自尊感は「自分は大切だ」と思いながら、自分を尊重する心だ。かなり以前に日本最高の名門工大を首席で卒業した天才学生が就職の為「松下電器」に入社志願書を出した。彼は今まで首席を逃したことがない天才だった。
合格者を発表する日、なんと合格者の名簿には彼の名前がなかった。
彼は何度も確認したが、どこにも自分の名前はなかった。今までただ一度も首席を逃したことがなかった彼は、今度も首席で合格すると自信満々だったのに、首席はおろか合格者名簿にも上がらなかったのだ。
彼は意気消沈して、合格して喜ぶ人々を後にして家に帰ってきた。
家に戻った彼はその晩、生涯で初めて味わった不合格への挫折感と自尊心が傷ついたことを克服できず、多量の睡眠剤を飲んで、永遠の眠りに陥ってしまった。彼の死を見つけた家族が泣き悲しむとき、緊急電報で「合格通知書」が家に届いた。
彼は自分が予想した通りに他の人達よりも遥かに優れた実力で首席で合格したから、一般合格者の名簿には入れずに、別途に記されてある彼の名前を事務的なミスで通知出来なかったのだ。当時この事は日本社会で大きな話題となり、会社の過ちで天才を死なせたと、連日のように報道された。その天才青年は「自尊心」の為「自尊感」を放棄した人だった。だいぶ時間が経ってから一人の記者がその会社の松下幸之助会長を訪ねてその事への意見を聞いた。
会長は会社の過ちで社会的物議をかもし出したことを謝りながらこう語った。「将来が期待される青年の死は誠に残念です。けれど、会社の立場からは不幸中の幸いです。」
「ただ一度の失敗に勝てないほどの心の弱い人なら、重役になった時、もし会社が危機に瀕した時、全てを容易く諦めて会社を危機に陥れかねない。全社員の生活がかかっている会社を悲劇で終わらせることもあり得る。
自尊感は自分を大切に思う心だ。
自分が自分を愛するとき、人も愛することが出来る。自尊感のある人はどんな場合であっても「挫折しない、呟かない、人のせいにしない、人を恨まない」。自尊感ある人は積極的で、肯定的で、どんなときでも譲り、謙遜な生涯を送る。このような人になるように心から願いつつ。

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